農産物直売所『四季彩館』


直売所の元組合長の話を交えて




 元組合長がシンポジウムで発表した活動報告の掲載を承諾してもらいました。
 分かりやすい説明ですので載せさせていただきます。 





   農業高齢者シンボジウム事例発表


   直売所「四季彩館」で盛り上がる伊奈町農業
               本澤精司 (元)組合長


 
只今、ご紹介いただきました伊奈町農産物直売組合 の本澤でございます。
 皆々様にはお忙しい中、御出席下さいまして誠に御 苦労様です。
 先般、浦和普及センターより、今までの活動状況を 報告しろとお話があり、人前で話すことには、不慣れ ですので、初めはお断りを申し上げてきましたが、 「今や県下でも誇れる直売所に成長してきたのだから 自信をもって発表して下さい」と勧められ、皆様にお 役に立つかわかりませんが、お話をさせていただきた いと思います。


 ・・・(伊奈町の紹介など)・・・ 中略


 さて、私どもの組合の前身は、そもそも、昭和六十 二年度に都市緑農地域整備事業という事業によって、 伊奈町農協本店の駐車場に設置された約十八坪の直売 所から始まっています。 当時の直売所は、きちんと した組合組繊があったわけでなく、ご婦人方や年寄り が、こづかい稼ぎに農産物を持ち寄って売ってもらっ ていたという程度の直売所でした。週に、火、木、土 の三日間の営業で、開店も午後一時から五時までとの んぴりしたものでした。それでも、年々売上げを伸ば し、年間約三千万円ほど売る直売所になり、近くのス ーパーより新鮮で値段が安いと評判でした。

 伊奈町では、平成四年度に町農業の将来方向を探 るため、農家に対し意向調査を行いました。その結果、 都市化が進行していく環境の申で、農業の振興を図っ ていくためには、直売農業が基本であり、そのため、 従来の農協直売所では、非常に狭く、大きな農産物直 売所を設置してもらいたいという要望が多くだされま した。
 それを受けて、伊奈町農政課、農協等の関係機関で は、将来、大きな農産物直売所を建設する計画につい て協議を始めました。あわせて、直売生産組織の充実 強化を図るため、高齢者農業生産活動集団育成事業を 導入することになりました。そこで、前からの直売所 の出荷者を中心に、伊奈町直売所高齢者野菜集団が組 繊化されました。

 この事業のお世話になり、新しい直売所開設に向け て、先進的な取り組みをされている直売所を視察研修 いたしました。具体的には、小川町農業協同組合の直 売所や花園町の農産物直売所を視察し、生産者の直売 に対する取り組みや運営方法、荷の搬入方法や、引き 取り方法、さらにレジのボスシステム等を参考にしま した。

 さらに、農業構造改善事業により、新しい直売所が 建設される見通しがついてからは、直売所が成功する ための方法について、その道に詳しい専門家を招いて 講演会を開催したり、近隣ですでに直売に取り組んで いる組合の組合長さん方においでいただき、パネルデ ィスカッションを開催したり、より具体的な研修を 行いました。

 また、伊奈町は、梨、ぶどうなど果樹は盛んな産地 ですが、年間供給できる多品目にわたる野菜の作付に ついては、経験が少ないため、普及センターにお願い して野菜の作付講習会等も開催してもらいました。

 正直のところ、計画された直売所の大きさに、果た して地元の農産物が集まるのかどうか、たいへん不安 な気持ちをいだいておりました。今までの小さな直売 所に出荷していた約三十人の人は、引き続き出荷して くれるでしょうが、その程度では、全然荷が足りませ ん。せっかく、町、農協で立派な直売所を作ってもら っても、利用する生産者が少なく、地元の生産物が供 給できないようでは、申し訳ないなというのが、今だ からこそ話せる正直な気持ちでした。

 オ−プンの一ケ月前にポスシステムの生産者コード の入力が始められました。当初は約六十人程度と思わ れていましたが、徐々に増え百人を越える人の登録が ありました。

 平成八年四月二十六日、不安と期待が入り交じる中 で、一般公募でつけられた「四季彩館」の名称で新し い直売所がオープンしました。

 場所は、伊奈町の南部で、県道大宮栗橋線からJR 蓮田駅に向かって、すぐのところにあり、蓮田市や上 尾市の住宅団地からも近く客足は期待できましたが、 近くに大きなスーパーもあり小売り競争の厳しい面が 心配でした。

 オープンセールの時には、レジが間に合わないほど の混雑で、長い行列となり待ち時間も相当長く、あり がたいと同時にお客さんに対し申し訳ないような気が しました。

 前の直売所も、新鮮さと安値で好評でしたが、四季 彩館になっても、この点でまわりのスーパーに引けを とらず売り上げも順調に伸ぴました。

 はじめ、登録しても荷を持ってこない人も、四季彩 館の売れ行きを聞いて、荷を運んでくれたり、様子見 をしていた人も徐々に登録してきたりして、現在では 百二十四名の登録者を数える至りました。
 夢中で過ぎた一年を振り返ってみますと、四季彩館 全体で約二億円の売り上げとなりました。そのうち地 元の野菜売り上げは、四割の約八千万円となり、古い 直売所の約三倍の売り上げにつながりました。

 そこで、組合員も作って直売所にもっていけば金に なるということで、意欲的にみなさんが取り組んでく れるようになりました。
 ほとんどの生産者が、女性や高齢者ではありますが、 みなそれぞれ工夫して、荷を仕上げて持ってきます。 ですから、直売所でお客さんは、「新鮮で安い」とか 「ここで買った野菜を食べたら、他のところで買った 野菜は食べられないよ」と言われると、とてもうれし く、つい作る力にも力が入ってしまいます。

 私の自慢話になってしまいますが、私は枝豆作りが 得意で、お客さんも私の枝豆の出荷を待っていてくれ ます。私が持っていくとすぐにお客ざんが持っていっ てしまいますので、働く、生き甲斐を感じております。
 また、四季彩館のオープンをきっかけに、潰け物製 造の許可を取った方もいまして、今日も、この席に一 緒にきていただいておりますが、手作りの潰け物の味 の良さは、工場で作られたものと違い、添加物もなく 「農家の味」として消費者に喜ばれています。

 今まで、いいことばかり申し上げて参りましたが、 間題点もあります。どこの直売所でもあることだと 思いますが、みなさん同じような晴期に同じようなも のを作っていますので、大根、自菜、ほうれん草が山 のように積まれ、お互いに値引き合戦が始まることも あります。また、規約では、その日のうちに売れ残っ た品を引き取ることになっていても、そのままで引き 取らない人がいたりします。荷造りや品質面でもなん でも売れるからといい加滅な人もいますので、役目柄 言いずらいことも言わなくてはいけないこともあり、 気まずい思いをすることもあります。

 伊奈町で、直売野菜の生産がこれほど盛んになると は思ってもいなかったと思いますが、四季彩館によっ て、伊奈町農業が大きく変化したことは事実です。
 生産者も女性や高齢者が多いのですが、実質的な農 業の担い手となって、農地を守り、農家を守っている 訳ですから、そういう我々が、生き甲斐を持って、取 り組めるようになったことは、たいへんありがたいこ とだと思います。

 四季彩館での直売でついつい働きすぎてしまいます が、自分も年齢を考えて、農業を楽しみながら、そし て、消費者に喜ばれるよう多少ゆとりをもって、直売 農業に取り組もうと考えています。
 また、将来を担う子供たちに、芋掘り体験や田植え の体験等を通じ、農業への理解や働くことの尊さを感 じてもらえれば有り難いと思っています。

 最後になりましたが、この事業を通じ、いろいろ御 支援をいただいた、伊奈町農政課、農協、普及センタ −の方々に厚く御礼申し上げ、私の発表とざぜていた だきます。

 ありがとうございました。



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